事業の仕組みはこうだ。
まず一人の主婦Aさんにパンを売る。
その際、「よろしかったらお友達にも紹介してください」と声を掛ける。
Aさんは次回から友人分の注文も取るつもりだ。
「な−んだ、パンの宅配か」と軽く見てはいけない。
パン宅配の激戦区である横浜市を地盤に、売上高は平成三年三月期のニ億三○○○万円が平成四年三月期にはニ・六倍の六億円という急成長ぶり。
「パンはあくまでもイントロ(導入部)なんです」。
約三万人の主婦をネットワーク化し、バンを中心にニ五○品目の商品を宅配するのが特とめてSに発注する。
そして、Aさんは同社から週一回のペースで届くパンを、近所の友人達にも配って回る。
主婦の友達の輪をベースにして、予約注文制のパン宅配事業が″自己増殖″していくのだ。
現在、注文の取りまとめに携わる主婦「スキップレディ」(SL)は直営分だけで三○人。
いわゆるネズミ講と異なるのは、SLの主婦は入退会自由で商品買い取りのノルマSLには同社から「お礼金」が支払われてアルバイト収入になるとはいえ、「一○○件の注文を取り次ぐ人でも収入は月五万円程度」に過ぎない。
それでもSLが増えているのは、「気に入った商品を友達に薦める楽しさ」があるためだ。
同社はSLメンバーで作る生活向上委員会(任期一年)を組織しており、ここで選ばれた商品だけを、情報誌を通じて紹介する。
パンとその他商品の売上構成比率は「平成三年三月期の九五対五から平成四年二一月期には六○対四○になった」。
おにぎり、おやつ、調味料、調理器具、化粧品などが着実に伸びているためだ。
三人のSL主婦が住む横浜市磯子区のあるマンション(戸数二○○)では、「この三人がマンション一階に店を構える食品スーパーに打撃を与えている」という。
SLは「(爆撃機の)B羽みたいなものなんですね」と笑う。
が、一機で街を壊滅する力を持つ大型爆撃機の「B塊」とは言わない。
そこがこの事業の特色でもあり、「小さな積み重ね」を重視するKなりの一種の″美学″でもある。
横浜市内で三○○人のSLが三万人の主婦をカバーする。
Kはこのネットワークを消費者モニターとして使い、「総合活性研究所」という事業名で企業からのリサーチ依頼にも応じている。
「朝日新聞社が″両用″の評判を読者調査したり、Mの家庭用浄水器の反響を聞いたり」と、さまざまな企業が利用しているという
。
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